- 2006年11月 9日 00:00
- game
AIR編終わったあとからずっと残るわだかまり。
何か重要なものをどこかに置き忘れてきてしまったかのような焦燥感。
それは、エンディングまで見終わった私が作品物語に対して「何も終わっていない」と感じてしまったこと。その思いと、作中で示された観鈴や往人たち登場人物の言動との乖離だった。
簡単に言えば「報われなかった」ことへの悲しさだ。
「無限の終わりへ向かって」とかその他の言葉をこの悲劇がこれからも続いて行くんだと読んでしまったことや、観鈴と往人がいなくなってしまったことに起因する、私の想像力不足が招いた第一印象。
それを覆したくてもう一度AIR編をやってみた。
んでまた号泣...。
_____AIR
神奈は救われたのか。観鈴と往人は報われたのか。
最初の悲劇、そして裏葉と柳也が残した最初の希望。そこから長い長い時間を掛けて一つづつ積み重ねられていった絶望と希望のすれ違い。
...あれから一千回目の夏、ようやくめぐり会えた二つの魂。
観鈴の決意は、自分を蝕む過去の夢を最後まで見届けることでその根本を知り、永劫に繰り返されてきた悲劇に終止符を打つこと。
それは、呪われた夢を幸せな記憶で塗りつぶすことだ。
観鈴が望んだ夢、神奈の欲した夢。
カラスに触ること、変なジュースを一杯飲むこと、怪獣の赤ちゃん、夏祭りに行くこと、海へ行くこと、母親、海辺の庵で家族で暮らすこと...。
繰り返す悲劇を断ち切るため観鈴はひたむきに生きるけども、無限の呪いは着実に彼女を覆い尽くしていく。
何度も諦めかけた彼女に手を差し伸べたのがもう一つの魂。往人の思いと受け継がれた人形。彼の母、その母、そのまた母、それは一千年にわたる無限の希望だ。
彼とその人形は幾度か観鈴を救う。彼女が望む夢のため、彼女がたどり着くまでの時間を与えるため、そして彼自身の思いのため。
たくさんの孤独や辛いこと、悲しいことがあったけど、最後に観鈴は顔を上げて言った。
「わたし、がんばったから、もういいよね」
「休んでも...いいよね」
「ぜんぶ、した」
「なにもかも、やりとげた」
「この夏に一生分の楽しさがつまってた」
「わたし...がんばってよかった」
「ゴールは幸せといっしょだったから」
「私のゴールは幸せといっしょだったから」
「ひとりきりじゃなかったから」
「もうゴールするね...」
「ゴールっ...」
「やっとたどりついた」
「ずっと探してたばしょ...」
「幸せな場所...」
「ずっと、幸せなばしょ...」
あかん、書いてて泣けてきた。
観鈴の望んだ夢、神奈の欲した夢...最後と決めた夏に彼女は全部やりとげた。その身に受けた呪いと悲劇を全部、幸せな思い出で塗りつぶした。往人と、晴子と三人で。
そうして観鈴は、母親の腕に抱かれて静かに目を閉じた......。空へ、その幸せを届けるために。
往人はその身に受け継いだ力と、一千年に及んで積み重ねられた希望の奇跡で翼を得た。新しいその身に人の記憶は大きすぎて溢れてしまったけれど、観鈴と交わした約束通り、その思いひとつだけはちゃんと残して羽根を広げる。
人の身では決してたどり着けないあの場所へ、彼女を迎えた「新しい始まり」のために。
「帰ろう、この星の大地に」
シルエットで現れる羽根持つ少女が観鈴なのか、神奈なのか、他の誰かなのかはわからないけれど、彼女は確かに自由に羽ばたいていた。
きっと、幸せな記憶に満たされて...。
オーラスは7月17日、浜辺の少年少女。
「彼らには、過酷な日々を。そして僕らには始まりを。さようなら。」
そう締めくくる彼らが何者なのか、やっぱりわからなかったけれど、彼らが歩き出した先にあるものは「無限の終わり」。この物語で紡がれた終着点へと辿り着く。
だから、彼らはきっと一千年の果てに夢をかなえた神奈と柳也/裏葉なのだろうと思いたい。
「最後は...どうか、幸せな記憶を。」
_____
たかがエロゲーで何を真剣に...と思うこともあるけど、架空であれ、ひとつの物語に何かを感じることが出来るのは人として幸福なことであろうと思いたい。
やり直して泣くは書いてて思い出し泣きするわ、大変だった。
でも、やってよかった。
ゴール......!←涙腺破壊の爆撃。
感動したが後味が良くない。
いやっほーうっ!!AIR最高っ!!!!
田舎を舞台にした切ない家族愛ゲー