- 2006年7月28日 00:00
- movie
学祭ライヴ直前にメンバーが怪我やらなんやらで抜けてしまって代理を~云々。
あれ? なんかつい最近どっかで見たような…。
「スウィングガールズ」や「ウォーターボーイズ」と同じもんだろうと思って放置していた。確かに内容自体は似通ったものだけど、描き方は違っている。
全編テンション低めで、間が長い。それを退屈と捉えるか現実的と捉えるかは見る者が何を受け取りたいかによって変わるものだろう。
「SG」「WB」の持つ謎のテンションは一種ファンタジーに近く、学生時代を過去にした大人にとって憧れのような思いを抱かせるものの、多くにとって記憶にあるそれとは確実に一致しない。
逆に、この作品の持つもどかしさ、劇的に変化するものなど何もない時間の流れは胸に落ちるノスタルジーを含んでいる気がする。
そんな位置に置かれた主役達とは少し異なっているのが留学生のソン。留学生として、学祭の中で文化交流のような展示を誰も訪れない部屋で行っていた彼女は、バンドメンバーのいい加減さ、テキトーさによって「高校生活」に巻き込まれていく。
それを直截な言葉でなく流れの中で描いて見せたのは好ましかった。
この作品の重要なアイテムといえば「THE BLUE HEARTS」。
「 女子高生がブルーハーツ。ボーカルは韓国からの留学生!? 」
と、紹介文でも煽っているが、ブルハをやること自体には大して意味がなかった…orz
でもラジカセから飛び出す「リンダリンダ」にシャウトする彼女達の姿は、確かに十数年前の私達と同じ絵だ。長い時間を経ても繰り返されるシチュエーションには思わずニヤリとする。
最後に訪れるライヴシーンから湧き上がるカタルシスに、最初からずっとワクワクしてたんだけど、残念ながら物足りなかった。時間が短いせいなのかなんなのか…。ノリノリの観客もむなしい。作風に合致してるといえばそうなのもしれないけど。
うう、やっぱもうちょっと時間取って欲しかったなぁ。
ライヴでの「リンダリンダ」→「終わらない歌」、演奏の最後で画面はブラックアウトして物語の終わりを告げられる。「え? 終わり!?」
これは正直な感想。
そしてエンドロールと共にもう一度流れ出す本家本元の「終わらない歌」。
ぶっちゃけると、何故か涙がぼろぼろ出て止まらなかった…。
さて、萌の歌唱力には見た人みんな驚愕だと思うけど本職の歌うたいなんだね。てか、萌ボーカルでよかったじゃん; メンバーだし。それが不思議でしょうがねっす…。
あと、告白イベントすっぽかすのはどうよ! 呼び出されてすっぽかされた彼の表情ったら…カナシス。私も高校の時呼び出されたけど…何が起こるかはもうわかっちゃうわけだし、そりゃあんた色んなこと考えちゃうわけよ。ドキドキだよ。それを熟睡で蹴っ飛ばすって…ああ、泣けてくる。
ところで、とぼけた教師役に甲本雅裕を持ってきたのは実に気が利いてるね…。
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☆4つ
パワー満点の快作!
ありがちな青春映画かと思ったら、あんまり見かけないような良質映画でした。
ペ・ドゥナ!