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紅殻町博物誌

  • Posted by: harusui
  • 2009年7月30日 23:23
  • game

紛いもののあなたの愛に為すすべがない......

絵、微妙じゃね?
デモムビを見たときそう思った人は多いのじゃないかと思う。私もその例に漏れない。
それなのにこのパッケージを手に取ったのは雰囲気に惹かれたのと、曲ですな。インパクトのあるものじゃないんだけど、何度も聴いてるとだんだん沁み込んでくるスルメっぽさが。
絵の方はやり進めるうちに気にならなくなる。もともとヘタってわけでもないし、特徴的なテキストの効果もあってむしろ艶が出てくるように感じられる。やり終えた今では結構気に入っている。
つか松実さんがたまらん感じですよ。芯と品、それにかわいげとエロを持った見逃すには惜しいキャラだ。昨今の業界傾向にあっては得がたい価値を見出せる。ただ年齢設定は三十路のようなので、そこはご自分の嗜好と調整しておくれ。

で、まぁ失礼ながらも大して期待してなかったわけだが、そしてさほど期待を上回らなかったのも事実であって。
なんにつけてもボリュームがちょっと足りない。長さも枚数も。しかも一本道。そんでフルプライス。買う身にとっては苦しいところ。

シナリオは量以外は可もなく不可もなく。「珍奇物品」をファンタジーのギミックとしたちょっと不思議なお話し。個別ルートに見立てた各章で人物を紹介しつつ探っていく方略は、作品の持ち合わせた雰囲気と相乗でそれっぽくなってはいるんだが、特段のテーマ性も見出せず印象の薄いものに。
最終章直前で作品を貫くテーマが明らかにされるものの、正直それをそこまでに読み取るのは無茶な話しで、即ちプレイヤーにはクライマックスへの準備が醸成されておらず、なまなかな生焼け感に静かな溜息。
そのテーマはスマガとは違ったアプローチを持った物語へのスタンスで、悪くないだけにすごく惜しく思うのだ。
シナリオを、あるいは人物を補足するために仕込まれたネタはハードルが高い。陰獣トリステサとかわかんねーよ...。思わずぐぐっちゃったよ。ベルヌのあれだってその作品自体はともかく、訳者かよ! なんで登場したのか、しかも一番インパクトのある冒頭なのか今でもわからんし、秘境探検小説とかも私に思い当たるのは八頭大が精一杯です。でもやっぱり気持ちは分かる。分かりたい。
十湖が何かの物語の登場人物だとの言及に、気になってぐぐってみたのだけど、これはちょっと難渋した。元が人見十吉のパロティなのかどうかは不明だが、海賊王女の凱旋というPBMにその名を見た。さすがにここでニヤリと出来るにはハードルが高すぎる。PBMとか初めて知ったわ...。調べてるうちに嘘屋の来歴とかに着地しちゃうし。なんか興味深かったです。

本作の最も特徴的な部分は、なんといってもテキストにある。少なくともエロゲ的には非常に独特、個性的。
普段見聞きしない単語や文字が多いので学の乏しい身にはちょっと読み難い。文学的、と言うのが妥当かわからないが、装飾豊かというか遠回りな文章はゲームなどの簡易な表現に慣れていると戸惑うだろう。その迂遠さを楽しむものだと気付くことができれば動きのある描写豊かな文体に化ける。
これは読者としてそそる文体で、その描写も散文的ではなく喩に富んで情感を刺激する表現がほぼすべてに用いられ、読んでいてとても楽しかった。
読点の位置なども奇妙で、文章にとっつき難さと不思議なリズム感を併せ持たせている。これも初めは読みづらくてなんともなんだが、ふと思い立って音読してみたらこれがそんなに違和感がなかった。というか音読してると結構楽しい。その時の私はかなり気持ち悪い絵面になっている気もするが。
普段のように感覚的に読み流していくよりは、一拍二拍、多くとって音読くらいのリズムで描写の動きを噛みながら読んでいくのが似合っている文章なのかな、などと思ったりした。
かなり興味を持ったので、同じライターのブランド一作目「霞外籠逗留記」も近いうちにやってみたいなぁと思っているところ。
多くの場合環境設定はデフォルトのままプレイするのでその自由さってのは気にしない方だけども、本作のこのテキストはデフォの横書きよりも縦書きの方が絶対に似合う文章だと思うので、それを選べるのはうれしかったところ。縦横でツボにはまる文字のポイント数が微妙に違ってるって気付いたのもどうでもいいことかもだが収穫。VRsystem GJでした。

さてOP曲も良かったが、EDも聴きやすくなんか沁みそうな良い曲。これはね、日本酒を嘗めながら聴くのが合いそうだよね。ほんのり寂しくもあり。

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raiLsoft(レイルソフト) (2009-07-24)

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